楽譜の「少し先」を見ると、音楽が流れ始める
更新日:9月5日

目線を、少し先に置く
先日のレッスンで、ちょっと嬉しい発見がありました。
大人の生徒さんが挑戦しているのは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番《悲愴》第2楽章。
冒頭8小節の中で、右手の低い音域に現れる16分音符の動きが、どうしても滑らかに流れません。レッスンのたびに、二人で首をひねっていました。
そんなとき、ふと思い出したのが、最近見ていた運転の解説動画でした。
月末に旅行があり、久しぶりの運転に備えて、こっそり予習していたんです。
動画の中で紹介されていたのが、
「目線は、進行方向の少し先に向けること」
というアドバイスでした。
それを聞いた瞬間、
「これ、ピアノと同じかも!」
とピンときたのです。笑
運転では、近くばかりを見ていると、目の前の車の動きにその都度合わせようとして、ハンドルの修正が細かくなったり、車体がふらつきやすくなったりするそうです。
一方、視線を進行方向の少し先に置くと、これから進む道筋を捉えやすくなり、直進するときも、右左折するときも、操作が滑らかで安定しやすくなります。
運転の話を聞いているはずなのに、ピアノの演奏にも当てはまることが、とても多いのです。
一つひとつの音を必死に追いかけるのではなく、そのフレーズがどこへ向かって流れているのかを見る。
音楽には、一つのまとまりの終わりという短いゴールもあれば、曲全体を見渡した先にある長いゴールもあります。目の前の音だけでなく、その先にある目的地へ意識を向けると、指の動きも自然にまとまりやすくなるんですよね。
さっそくレッスンでこの話をしてみると、生徒さんも、
「その例え、よくわかります!」
と、とても共感してくださいました。
そして、フレーズの行き先へ意識を向けて、もう一度弾いてみると
あの冒頭8小節が、驚くほど滑らかに流れるようになったのです。
音楽も運転も、大切なのは「近く」だけでなく、「少し先」に意識を向けること。
もし今、難しいフレーズの途中で立ち止まっているとしたら、一度、その先のゴールへ目線を送ってみてください。
きっと、その先にある音楽が、指を連れていってくれます。


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